絵本はそれ自体がひとつの世界である
絵本はそれ自体がひとつの世界である。
これは私が絵本を考察して至った結果である。
絵のデザインや文の表現などで、同じ物語でも全く違う印象を受けることがある。
今回私は、三匹の子豚という絵本について考察をした。
絵本は数多くある中から、特に特徴のある三冊選び、そして絵も文も著者の違う作品を対象にした。
一冊目は「三びきのこぶた」ポール・ガルドン絵、晴海耕平文である。
この本のストーリーは一般的に良く知られているものであるので割愛する。
この本の特徴は、狼が子豚よりもずいぶん大きく描かれており、大胆で迫力のある構図になっている。
また子豚は丁寧な口調、狼は乱雑な口調で書かれており、
両者の立場をよりはっきりと読者へ印象付けることに、効果的な役割を担っている点である。
この二点が読者を物語へ引き付けているのだろうと考える。
二冊目は「三びきのコブタのほんとうの話」レイン・スミス絵、ジョン・シェスカ文、いくしまさちこ訳である。
この本は、一般的に良く知られている三匹の子豚のストーリーを狼の視点から、
思い出話のように語っているところが特徴である。
簡単に話を掻い摘んで説明すると、狼は砂糖を1杯貰いにコブタたちのところへ行った。
しかし鼻がムズムズしてくしゃみをしてしまい、その衝撃によりコブタが死んでしまった。
そのままにしておくのも忍びないので、死んだコブタを食べた。
そしてそのことがもとで、狼は刑務所に入れられてしまった、という内容である。
この本の特徴はなんと言っても、視点の違いからくる面白さである。
コブタ目線のストーリー展開でなく、狼目線のストーリー展開。
それは私たちに物事を一点から考えるのではなく、
多面的に考えることの大切さを内密に語っているように思われた。
三冊目は「3びきのぶたたち」ディヴィッド・ウィーズナー絵&作、江國香織訳である。
この本は、前の二冊とは全く違うところが魅力的である。
まるで、四次元の世界を旅しているような気にさせる奥行きのあるイラストと、
奇想天外なストーリーが良い。
というのも、3びきのぶたたちが絵本の中から抜け出し、
マザーグースの童謡やおとぎ話の世界を冒険して、
元の絵本の世界に戻ってくるという大胆なおかつ、ほかに類を見ない内容であった。
この本は子どもの想像力、感受性を高めると共に、大人にも十分楽しめる内容だと思う。
絵本は、いつも単一の物語を語る本ではない。
たとえ同じ物語を題材にしていても、絵のデザインや色彩などの見せ方、
文の表現や展開などの読ませ方によってストーリーが変わってくる。
そういった読者へのアプローチによって、私たちの心に響くものも違ってくるのである。
それはまさしく、絵本一冊一冊がひとつの世界であるといえるだろう。
絵本は人を成長させると共に、絵本自体も変わっていくのである。
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