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大地とタンポポ



昔、荒れた大地がいました。あまりにも荒れていたので、草一本の友達もいませんでした。

かろうじて近くにいるのは、無鉄砲な風だけでした。

 そんなある日、風に追われて小さな綿毛たちが大地の近くに飛んできました。

その中の最も小さな綿毛が「大地さん助けてください。もし助けてくれたら、お礼をします。」と言いました。

大地は小さな綿毛たちに興味がありませんでした。

そこで綿毛たちを無視しようと思いましたが、

風に追われてあっちへよたよた、こっちへよたよたしている綿毛たちを見てかわいそうになり、

助けてあげることにしました。

助けられた綿毛たちは「ありがとう!お礼楽しみにしていてね。」とにっこり微笑みました。

しかし大地は今まで友達がいませんでしたから、なんと言ったらいいか分りません。

いろいろ考えた挙句、何とか「おまえたちのような小さな奴に、一体何が出来る?勝手にすればいい。」

と真っ赤に照れながらも口調だけはぶっきらぼうに言いました。

綿毛たちの抗議の声が聞こえてきます。

しかし大地は何も言い返しませんでした。

綿毛たちが怒るのも仕方がないと後悔したからです。

そしてそのまま冬になり、大地は綿毛たちと一言も言葉を交わすこともなく、

深い眠りについてしまいました。



 大地は夢を見ました。大地がたくさんの友達と幸せそうに笑っている夢です。

大地とその友達の間には、なぜか深い霧が掛かっていて友達が誰なのか見ることは出来ません。

でも大地には幸せな夢だということは分かりました。

「あぁ、オレも幸せになりたいなぁ。」大地は思いました。

しかし草一本の友達もできず、また綿毛たちを言葉で傷つけた自己嫌悪で辛くなりました。

「オレはどうしてこんなにダメな奴なんだろう」大地はぎゅっと目を瞑りました。



 春が来ました。何かの笑い声が聞こえてきます。

大地は何だろうと思い、薄く目を開けました。

するとどうでしょう!荒れた大地はすっかりと黄色でふわふわのタンポポに埋め尽くされていました。

蜂や蝶々が華麗なダンスをタンポポたちに披露し、小鳥たちが音楽を奏でています。

そこはまさに楽園でした。大地が眠りから覚めて目を丸くしているのに気づいたタンポポが言いました。

「大地さん、賑やかでしょう?」お礼をすると言ったタンポポでした。

それを聞いた大地は何とも言えない気分になりました。

自分が出来なかったことを、小さかった綿毛がこんな素晴らしい風景を作り上げてしまうなんて。

嬉しい気持ちも悔しい気持ちもあってぐちゃぐちゃです。

それを悟られたくなかった大地は精一杯の虚勢を張って

「オレはオレのままでいたいんだ。誰かに利用されたくないんだ!」とタンポポを怒鳴りつけました。

それを見た風は「君のためを思って綿毛たちをこっちへ連れてきてあげたのに。

いらないなら僕がもらっていくよ。大地のバカ!」

風は泣きそうになりながらも元持ち前の強風でタンポポたちを根っこごと攫っていきました。

それを見た蝶々や蜂たちは連れ去られたタンポポを探しに、

一匹また一匹と大地の元を去っていきました。

そして大地の元に残ったのは、お礼をすると言ったあの時のタンポポだけでした。

「こんなつもりじゃなかったのに。」大地は自分の言動に酷く落ち込みしました。



 数日後。大地は一本だけになったタンポポに言いました。

「行けタンポポ。オレの元を去ったら、また友達に会えるはずだ。」

大地はタンポポが去ってしまうのは、とても悲しく嫌でした。

しかし残ったタンポポのことを思うと、そう言うしかありませんでした。

大地がタンポポのさよならと言う言葉を待っているとタンポポはにっこりと微笑んで言いました。

「大地さんは本当に口下手なのね。でもみんな貴方を嫌ってはいないのよ?」

それを聞いた大地は目を見開きました。

「そっ、そんなんじゃない」大地は慌てたように言いました。

しかしタンポポは続けます。

「間違いをするのは誰にでもあるわ。でも大切なのはその後どうするかなのよ?」

大地は諦めたように言いました。

「でもオレにはやり直すことなんて出来ない。過ぎてしまった時はもう戻らないのだから。」と呟きました。

タンポポももう何も言えず、ただ沈黙するのみでした。



 そんな時、遠くから風が吹いてきました。

タンポポが大地に向かって言います。「見て!」大地は目を疑いました。

風が小鳥たちを連れ、その小鳥たちは嘴にタンポポを連れ、その周りには蜂や蝶々もいます。

大地は思わずみんなに向かって言いました。「ゴメン!」

風は笑って言いました。「ゴメンより、ありがとうの方が嬉しいんだけどね?」

 その後、大地はみんなの楽園になりました。

楽園になった大地の傍にはいつもたくさんの友達と幸せの花が咲いていました。





ended



これは私が2005年の夏に大学へ提出した児童文学作品です。

・・・児童ですが、第二次反抗期を意識して作りました。

自分が悪いと分かっているのに素直になれない大地と、それを支えるタンポポたち。

少しベタな感じはします。普通はこんなにうまく行かないでしょう。

しかし子ども親共に安定な時期に逃げずに

心から向き合って欲しいという願いから書きました。



音楽=Finalia/P's MAT




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